1. >
  2. >
  3. すく~~~と!を語る
すく~~~と!を語る

すく~~~と!を語る

スクーターを愛する女子大生を主人公にした、ほのぼの日常系(?)のバイク漫画。過去にスクーター乗りだった人、今も原付に乗っている人、シグナスXに思い入れのある人にはぜひおすすめしたい漫画だ。

原二だってカッコいい!

この漫画が伝えるメッセージは、「スクーターだって結構かっこいいんだから!」だ。

ヤマハ・シグナスXを乗りこなす主人公によって、原付二種の良さやデメリットに至るまで存分に味わえる。原付二種、特にシグナスが欲しくなる作品だ。在りし日にスクーターを乗り回した経験があれば、きっと共感ができると思う。

この作品、ほのぼのとした雰囲気で続いていくのだが、「これは日常系だ!」と断言しておすすめすることが難しい。というのも、1巻で感じられる日常系っぽさを期待して読むと、2巻でちょっとしたどんでん返しがあるからだ。これは、『すく~~~と!』の問題というよりも、バイク漫画の宿命なのかも?

原案とキャラ・メカ担当が別

『すく~~~と!』は『ワカコ酒』で有名な新久千映の名前で出されているので、日常系を好んで読む人はすぐにピンとくるだろう。「新久千映の作風でバイクあるある満載の日常ほのぼのが読みたい!」と思って読み進めると、たぶん「あれ?」ってなると思う。

実はこの作品の企画・原案は、機動戦士Ζガンダムのメカニックデザイナーでもある藤田 一己だからだ。だから雰囲気やストーリーの作り方、キャラクターの感じに新久千映らしさをあんまり感じない。

おれも「この作者の名前、見たことあるな……」と思って調べたら『ワカコ酒』が出てきて驚いた。予想していなかったからだ。それくらい、ストーリーの進め方やキャラの作り方、コマ割りに至るまで、雰囲気がちょっと違うのだ。

正直なところ、誰が案を出して誰が描いても、それが面白ければどっちでもいいとは思う。思うんだけど、もし作者買いを考える場合は、「原案者が違う」という情報は頭に入れておいたほうがいい。

メカのほうは藤田 一己が描いているらしく、スクーターや車の描写がさすがの出来栄えで素晴らしい。新久千映が担当するキャラと組み合わせても浮いていないし、お互いが得意とする部分をうまく組み合わせている印象を受けた。

『すく~~~と!』は打ち切りのために2巻で終わり、ちょっと駆け足にストーリーをまとめている。『ワカコ酒』のようにだらだらとした日常がもうちょっと続いてほしかった感じはあった。ああ、もう少し早く知っていればなあ……。