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スーパーカブ(漫画)を語る

スーパーカブ(漫画)を語る

2020年にアニメ化も決定した『スーパーカブ』。原作は小説だが、漫画化もしている。小説のほうはウェブ小説サイト・カクヨムから書籍化しており、原作のほうはカクヨムでも読める。

スーパーカブのあらすじ

父親はおらず、母親が蒸発した女子高生・小熊。友達もいないし趣味も持たない、そんな彼女が中古のスーパーカブを購入したところからのんびりと話が進んでいく。

ちなみにスーパーカブは1万円で買っている。バイク屋の店主曰く「3人殺してる」とのことだったが、小熊はまったく気にせず購入した。

全体的な感想

舞台は山梨、そしてバイク……なんとなく『ゆるキャン△』が頭をかすめるが、彼女がキャンプに目覚める様子はない。スーパーカブ(漫画)の説明時に『ゆるキャン△』っぽい描写もあったから、あれはひょっとするとオマージュなのかも?(ゆるキャン△はヤマハ・ビーノだけどね)

主人公に感情移入ができるかどうかは人によるかもなあ、と思う。

友達なし、趣味なし、カブあり。芯の強い子だし、悪い子じゃないし、なんなら絵がきれいだから、垢抜けなくても十分に可愛い子ではある。

でも、小熊は一言でいうと暗くてとっつきにくい。人と会話する言い訳をいちいち探さなければならない不器用さ、思春期だからこその頑固さもあって、ここが妙にリアルだと思う。うまくハマれば、誰とつるまなくても自分のペースで自分の生き方を楽しめる人ではありそうだけどね。

そういう子がスーパーカブに出会い、好きなものに目覚めて行動的になっていく様子を描いている。バリバリいこうぜ!というノリの漫画に食傷気味になったら開きたい優しい世界だ。スローなテンポで、のんびりと読み進められる。

この漫画は「はじめてバイクに乗った時の、世界が広がっていく感じ」を丁寧に描いていると思う。

小熊がスーパーカブに乗っていて楽しそうにしているだけでも良かった。歳を取ると日常ものの良さがなんか染みるようになるのも影響してそうだけど。人物の心情描写の繊細さはどうしても小説には叶わないので、小熊の心の動きは原作小説で補填してもいいかもしれない。

結果的に、主人公と友人らに感情移入はほとんどできなかったが、それが面映ゆくて、これは青春ものなんだなあと改めて感じた。なんというか、親心をくすぐられる内容だった。

余談

「通学をもっと楽にしたい」という気持ちでバイクに手を出すのは『ばくおん!!』の主人公と一緒なんだけど、その後の展開はもちろん違う。というかばくおん!!12巻のほうにはここよりもっと強烈なスーパーカブのパロディ(?)があったりするので、気になる人は読んでみてもいいかも。